経済的な支援を受けたい
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更新日:2024年3月25日 公開日:2020年7月27日
経済的な支援を受けたい
統合失調症の療養生活が長くなり、生活や医療にかかる費用の負担が本人・家族を含め大きくなってきた。何らかの社会保障制度で経済的な支援を受けたいが、どんな制度があって、どのように利用したら良いか難しくてわかっていない。
中竹賢人 24歳
専門医からのメッセージ
社会保障制度にはいろいろな種類があるので、制度の利用にあたってはソーシャルワーカーなどの専門家に相談して協力してもらうようにしましょう。具体的には、生活費の保障を得られる障害年金、精神科通院のための医療費を補助する自立支援医療(精神通院医療)、生活面のさまざまなサポートが受けられる精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)などがあります。
今回活用した支援
- 障害年金
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障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。
障害年金には2種類あり、病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」を受け取ることができます。支給額は年金の種類や障害の程度(障害等級)によって異なります。受給のために必要な条件は、こまかく規定されているので、ソーシャルワーカーなどの専門家や窓口に問い合わせてください。
支援内容
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生活費の保障
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支給日は年6回、偶数月の15日で、その月の前2ヶ月分がまとめて振り込まれます(例:6月15日に振り込まれるのは4月と5月の分です)。
対象
病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった方
相談先・申請先
ソーシャルワーカー、年金窓口、障害年金専門の社会保険労務士などへご相談ください。
申請は、国民年金の場合は市区町村の国民年金窓口、厚生年金の場合は年金事務所で行います。
- 自立支援医療(精神通院医療)
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精神科の治療のため、定期的・継続的に通院している場合、かかった医療費を補助してもらえる制度です。
通院による医療費が対象(外来、外来での投薬、デイケア、訪問看護等が含まれます)で、入院医療費は適用になりません。
健康保険の自己負担は3割ですが、自立支援医療制度の自己負担は1割です(自治体によっては、この自己負担分も負担してくれるところがあります)。
支援内容
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医療費の負担軽減
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医療費の自己負担が3割から1割に軽減されます。
所得に応じて、毎月の自己負担額に上限が設けられています。
対象
統合失調症などの精神障害により、通院治療を続ける必要がある方
相談先・申請先
ソーシャルワーカーや病院の窓口へご相談ください。
市区町村の担当窓口で利用する本人が申請します。自治体によって名称が異なるため「自立支援医療の申請をしたい」と総合窓口にお問い合わせください。
- 精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)
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障害のある人に交付される「障害者手帳」の種類のひとつで、精神疾患のある人が取得することができます。手帳を取得することで税金の優遇制度や交通機関の割引、公営住宅への優先入居など経済的・福祉的なサービスを利用することができます。また企業の障害者雇用の募集に応募ができるようになります。
症状や生活における支障の程度に応じて1級から3級の障害等級に区分されています。
支援内容
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税金の優遇
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交通機関の
割引 -
公営住宅
優先入居 -
など
対象
精神科の病気があり、長期にわたり日常生活や社会生活に制約(障害)がある方
相談先・申請先
ソーシャルワーカーや病院の窓口、市区町村の担当窓口へご相談ください。
市区町村の担当窓口で本人が申請します。家族やソーシャルワーカーなどが代行することもでき、病院によっては手続きの代行をしているところもあります。
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【監修者】
北里大学医学部 精神科学 主任教授
稲田 健 先生
北里大学医学部を卒業後、精神科医として20年以上にわたり多くの統合失調症患者さんを診療してきました。また、日本精神神経学会の専門医・指導医、日本臨床精神神経薬理学会の専門医にも認定されています。精神疾患の当事者の皆さまが社会で自分らしく安心して暮らせることを目指して、特に精神科の薬物治療の研究に日々取り組んでいます。