最初にうつ病/うつ状態と
診断される割合
65%
双極性障害患者さんの最初の診断は、
うつ病/うつ状態が65%を占めていました。
安野かえで 21歳 大学3年生
外国語学部で英語を勉強中。
部長を務めるダンスサークルでは、後輩の面倒見がよく、みんなから慕われている。
半年前のダンス大会での予選敗退に責任を感じふさぎ込みがちになり、両親に連れられ精神科を受診し、うつ病と診断された。現在、抗うつ薬で治療を続けているが、なかなか沈んだ気分が晴れないことに不安を感じている。
双極性障害と診断された
患者さんのうち、
65%は
最初に「うつ病/うつ状態」と
診断されていました。
双極性障害は、
10代後半〜20代
に発症しやすい
病気です。
うつ病と
双極性障害では
治療に使う
お薬は異なります。
最初にうつ病/うつ状態と
診断される割合
65%
双極性障害患者さんの最初の診断は、
うつ病/うつ状態が65%を占めていました。
Watanabe K. et al.:Neuropsychiatr Dis Treat., 12:2981, 2016より作成
双極性障害の
主な発症年代※
10代後半 〜 20代
双極性障害は
10代後半~20代に発症しやすい病気です。
※双極性障害患者を対象とした計10研究の合計1,304例において、双極性障害の発症年代を調査した結果。
Goodwin FK, et al.:Manic-Depressive Illness, Oxford University
Press,
p132, 1990
うつ病と双極性障害では治療に使う
お薬は異なります。
うつ病の主な治療薬は抗うつ薬ですが、
双極性障害の主な治療薬は気分安定薬と抗精神病薬です。
気分が高まる躁(そう)状態と気分が落ち込む
うつ状態をくり返す脳の病気で、
性格や心の問題ではありません。
以前は「躁うつ病」と
呼ばれていたこともあって
「うつ病」と間違われやすいのですが、
全く異なる病気で治療法も異なります。
加藤忠史. これだけは知っておきたい双極性障害, 初版, 翔泳社, 東京, p.10, 2018より作成
Mitchell PB, et al.:Bipolar Disord., 10:144,
2008より改変
監修:順天堂大学医学部精神医学講座 主任教授 加藤 忠史 先生
セルフチェックで試してみる
うつ病 | 双極性障害 | |
---|---|---|
治療目標 | ||
治療目標 | うつ状態を改善し、 改善状態を維持して、 仕事や学校などに復帰する |
躁状態、うつ状態を改善し、 再発を防ぎながら、 仕事や学校などに復帰する |
治療薬 | ||
主な治療薬 |
抗うつ薬
|
気分安定薬 抗精神病薬 |
同じうつ状態であっても「うつ病」と「双極性障害」では異なる治療が必要であるため、適切な診断を受けることが有効な治療への第1歩となります。
双極性障害の治療をもっと知る
まずは、「自分の症状が双極性障害という病気に似ているようで心配です」と、気持ちを率直に伝えてみると良いでしょう。そうすると主治医は、なぜ双極性障害だと思うのか?もう一度症状を確認して、診断についても説明してくれるでしょう。
まずは主治医に相談をしてみましょう。その上で、
「病気のことを先生が教えてくれたけれど、どうしても納得できなかった」あるいは
「いろいろ聞きたいことがあって質問したけれど、全く回答してもらえなかった」
という場合は、セカンドオピニオンを検討しても良いかもしれません。
双極性障害は「精神科」で診てもらいましょう。精神科は「メンタルクリニック」や「精神神経科」、「神経科・心療内科」と書かれている場合もあります。このような病院やクリニックにまず相談しましょう。
「内科・心療内科」や「脳神経内科」と書かれている場合は内科の専門医の場合が多いです。精神科の先生がいるか確認しましょう。
順天堂大学医学部精神医学講座 主任教授
加藤 忠史 先生
東京大学医学部を卒業後、滋賀医科大学、東京大学の精神科で診療・研究に従事し、その間、アイオワ大学でも研究に従事しました。理化学研究所で20年間、双極性障害の研究をしていましたが、2020年4月に、順天堂大学精神医学講座という臨床現場に戻りました。双極性障害と共に生きる人たちが、自分らしく人生を送れるようになることを願って、診療、研究に取り組んでいます。