うつ病と見分けが難しい双極性障害

双極性障害は初めはうつ病と診断されることが多い病気です。
うつ病との違いを見てみましょう。

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うつ病と見分けが難しい双極性障害

双極性障害は、躁(そう)状態で始まることもあれば、うつ状態で始まることもあり、人によって異なります。そのため、明らかな躁状態で受診した場合は、双極性障害という診断がつく一方、うつ状態で受診した場合、多くの場合うつ病と診断されます。なぜなら、双極性障害はうつ状態と躁状態の両方があらわれる病気であり、躁状態がない以上、現在のうつ状態からうつ病が疑われるからです。
実際、うつ病と診断されていた患者さんの10人1人2人は最終的に双極性障害に診断が変わるといわれています。
双極性障害は正しい診断がつくまで時間を要する病気で、正しい診断に行き着くまで、平均して4~10年ほどかかっているといわれています。

  • うつ病から双極性障害へ
    診断が変わった割合1)

    20%

    約20%

    うつ病と診断された患者さんの約20%が、
    のちに双極性障害へと診断が変更になりました。

  • 最初の診断名及び
    その割合2)

    最初の診断名及びその割合 うつ病/うつ状態

    双極性障害患者さんの最初の診断は、
    うつ病/うつ状態が65%を占めていました。

1)Hantouche EG, et al.:J Affect Disord., 50:163, 1998より作成
2)Watanabe K. et al.:Neuropsychiatr Dis Treat., 12:2981, 2016より作成

双極性障害の診断が遅れる理由
(双極性障害と診断を受けた当事者のコメント)

  • 1.

    躁症状を
    病気とは思わず、
    医師には話さなかった

    39%

  • 2.

    自身が
    双極性障害について
    知らなかった

    38%

  • 3.

    医師との
    コミュニケーション不足
    だった。

    25%

※回答者457例中の割合。上位3項目を抜粋。
複数回答可とした。

Watanabe K. et al.:Neuropsychiatr Dis Treat., 12:2981, 2016より一部改変

双極性障害の診断が遅れる理由

専門医からの
ワンポイントレクチャー

双極性障害の診断には躁状態を見極めることがとても大切です。自分自身では気づかないことも多いため、家族や周囲の人からの情報が重要になります。

嶋田聡志

双極性障害でみられる特徴とうつ病との違い

双極性障害にはうつ病と同じように「うつ状態」があり、「うつ状態」でどちらの病気か見分けるのは非常に難しいといわれています。
一方、双極性障害とうつ病では症状の特徴や発症年齢に違いがみられます。
下の図で左側にある項目はうつ病に多くみられ、右側にある項目は双極性障害に多くみられるといわれています。

双極性障害の診断が遅れる理由 双極性障害の診断が遅れる理由

Mitchell PB, et al.:Bipolar Disord., 10:144, 2008より改変
監修:順天堂大学医学部精神医学講座 主任教授 加藤 忠史 先生

双極性障害の発症年齢

双極性障害の発症年齢

双極性障害は10代後半〜20代に発症しやすい病気です。

※双極性障害患者を対象とした計10研究の合計1,304例において、双極性障害の発症年代を調査した結果。

Goodwin FK, et al. :Manic Depressive illness, Oxford University Press, p132, 1990

専門医からの
ワンポイントレクチャー

うつ状態の苦しさはその期間が長いことも関係します。双極性障害では、躁状態よりもうつ状態の期間のほうが長く続くといわれているからです。
また「うつ状態」が長く続くことから「うつ病」と間違われやすい病気ともいわれています。

嶋田聡志

双極性障害における2つのタイプ

激しい躁状態とうつ状態がある双極Ⅰ型障害と、より軽度ながら気分が高揚した状態(軽躁状態)とうつ状態がある双極Ⅱ型障害があります。

  • 双極Ⅰ型障害

    躁状態とうつ状態があらわれるタイプです。
    躁状態では、周りから見ると、いつものあなたとは全く違うことが明らかです。躁状態のときに、躁状態を治療しないでいると、仕事や人生を棒に振ってしまうようなリスクもあります。そして、そのような躁状態の後にうつ状態の波が押し寄せてきます。
    自分や大切な人を守るために、ときには入院治療を必要とすることもあります。

    双極Ⅰ型障害 双極Ⅰ型障害

  • 双極Ⅱ型障害

    Ⅰ型の躁状態と比べ程度の軽い軽躁状態とうつ状態があらわれるタイプです。
    軽躁状態がⅠ型の躁状態よりも激しくないから軽い病気だということではありません。軽躁状態そのものは特に治療が必要でなくても、うつ状態の再発をくり返すことにより、社会生活を阻害してしまうからです。そのためⅠ型同様にしっかり治療することが大事です。
    うつ状態の期間はⅠ型より長く、自殺のリスクも高いとされています。

    双極Ⅱ型障害 双極Ⅱ型障害

加藤忠史. これだけは知っておきたい双極性障害, 初版, 翔泳社, 東京, p.10, 2018より作成

専門医からの
ワンポイントレクチャー

はっきりした躁状態か軽躁状態かによって、2つのタイプに分類されます。うつ状態はどちらにもあらわれ、躁状態よりも長く続きます。

嶋田聡志

監修:順天堂大学医学部精神医学講座 主任教授 加藤 忠史 先生